ちょっと幻想的で懐かしく思えるこの町を、やさしくて、あたたかい夜が包みます。

ここは、どこか外国の町。その静かな夜道を、子どもを抱っこしたお母さんが歩いています。ただ、親子の顔はウサギ(!)。そう、この町はウサギや鹿やクマたちが、人のように暮らしている不思議な町なんです。遊び疲れた子どもウサギはウトウトしながらも、昼とは違う夜の町の様子を感じます。
どこかの窓から話し声が聞こえたり、美味しそうな匂いがしたり。くつろぐ人もいれば、その隣では賑やかなパーティ。それぞれの窓が映画のスクリーンみたいに、それぞれの暮らしを映します。やがてウサギのおうちに着き、子どもはおやすみの時間。その頃、他のおうちではお風呂で足を伸ばしていたり、本の続きを読んだり、思い思いの時を過ごしています。ああ、おうちの夜っていいなぁと思いながら、秋の夜長に読みたい一冊です。

このコーナーで紹介してきた絵本はクーム事務所に揃えてありますので、ご覧になりたい方はお気軽にどうぞ。