家のことを「おうち」って言いたくなるとき、心はすでに「おうち」に帰ってるのかも。

ただいまぁ、から始まって、おかえりなさい、いただきます、おやすみなさーい。この絵本で描かれるのは「おうち」で繰り返される家族の日常。それはあったかくて気取ってなくて穏やかな、「おうち」という言葉のイメージそのもの。ページをめくると少しだけ時間が進んでるので、猫がさっきと違う場所で伸びをしてたり、お父さんが鞄を忘れて戻ってきたりと、絵の中にいろんなお話が潜んでいるのも楽しいところ。
後半では、主人公の女の子の「なんで私は、このおうちに帰ってくるんだろう」という素朴な疑問が登場。そこから動物の帰巣本能の話や家を失った人の心の想像など、深みのある展開に。女の子も答えは出せません。でも、とりあえず今日も笑顔で「ただいまぁ」。やっぱり理由がなくても帰る場所なんですね、「おうち」って。

このコーナーで紹介してきた絵本はクーム事務所に揃えてありますので、ご覧になりたい方はお気軽にどうぞ。